
上記のような質問にお答えします。

本記事の内容
- 『ハムレット』読む前に
- 『ハムレット』あらすじ
- 『ハムレット』感想
- 『ハムレット』まとめ

・小田島雄志訳(1983)
・松岡和子訳(1996)
・河合祥一郎訳(2012)
『ハムレット』をザックリ言うと…
父の突然死、母や再婚相手の不可解な行動。生きるべきか、死ぬべきか。哲学的な問いを立てるハムレット王子。悲劇的な現実を前に、狂気のフリをするハムレットだが次第に本当に狂っていく…。
そんな感じです。
「生きるべきか、死ぬべきか」
劇中で語るハムレットのセリフはあまりに有名です。
とはいえ…
質問者のようにシェイクスピアの作品に対して「言い回しのややこしさ」を感じている場合があるかも。

というわけで、内容をサクッと知りたい方は、本記事の「読む前に」と「あらすじ」だけを読めばオッケーです。
あるいは、オーディオブックや映像で作品の全体象をイメージするのは超おすすめです。
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・ハムレットの世界を4時間たっぷり楽しめます。
作品の背景や前提をチェック出来たら、ぜひ原書を読んで下さい。
それでは、行ってみましょう。
『ハムレット』読む前に
ちょっと難しく感じる作品(特に外国の古典作品)を読む場合、原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。
優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。難しく感じる理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。
この記事では、作品の基本情報、著者の略歴、時代背景などを簡潔にお伝えします。
ちなみに、書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、オーディオブックや映画など、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです。
基本情報
作品名 | 『ハムレット』 |
著者 | ウィリアム・シェイクスピア(1564–1616)享年52歳 |
出版国 | イングランド |
出版年 | 1603年(推定執筆年1600) |
執筆時の年齢 | 36歳 |
分量 | 約240ページ |
ジャンル | 悲劇作品 |
電子書籍 | ▶︎ Kindle本 |
関連の音声コンテンツ | ▶︎ 『1000分くらいでわかるシェイクスピアBest20』 |
関連の映像コンテンツ | ▶︎ 映画『ハムレット』 |
同世代の作家/代表作 | ミゲル・デ・セルバンテス(1547−1616:出版時43歳)スペインの作家/『ドンキホーテ』(1605)。 |
時代背景
画像参照:Wikipedia
『ハムレット』の発刊は、1603年。17世紀初め。
当時のイングランドは、宗教改革後のデューダー王朝の末期。国家のトップはエリザベス女王です。
この頃、イングランド王国はスペイン王国との戦争に勝利して経済的な成功を果たします。スペインの国王フェリペ2世がひきいる「無敵艦隊」をアルマダの海戦で破りました。
さらに、東インド会社を設立したイングランド王国は、羊毛産業でお金持ちになりました。戯曲などの「エンタメ」が成立するためには、経済的なゆとりという「余剰」が必要なのでしょう。
シェイクスピアの作品は、経済的に成熟した国家に求められていたことがうかがえます。
このような「余剰」を埋めるひとつの手段として『ハムレット』は読まれました。
著者の略歴
画像引用:Wikipedia
著者のシェイクスピア(1564–1616)は、イングランド出身の劇作家です。
大部分の作品(戯曲や詩)を1589年から1613年(25歳〜49歳)に執筆しました。
『ハムレット』は、シェイクスピアが36歳ころに書いた悲劇作品。劇作家としての地位も確立され、悲劇作品の創作に着手しています。
シェイクスピアは、イングランド王国の宮内一座のおかかえ作家として活躍しました。劇団のスポンサーは、イングランド王国。つまり、王室が広告主です。
そのため、シェイクスピアの作品には、エリザベス女王や王室の存在を意識したものが多いです。
卓越した人間観察や心理描写により「万の心を持つ」と形容されています。生涯で戯曲40作を執筆し、次世代の文学者に圧倒的な影響を残しています。
喜劇『じゃじゃ馬ならし』『夏の夜の夢』、悲劇『リア王』、『マクベス』、歴史劇『ヘンリー八世』など。
シェイクスピアのすごいところは、商業的だけでなく芸術的にも成功をおさめているところですね

『ハムレット』あらすじ
作品を楽しむために必要なあらすじは、
- 商品レビュー
- 舞台設定(時代・場所)
- 登場人物(関係性)
の3つをチェックすればオッケー。
その他、作品独自のルールやテーマなどがあればおさえておきます。
サクッとあらすじを理解するだけで、理解度が飛躍的にアップします。
商品レビュー
城に現われた父王の亡霊から、その死因が叔父の計略によるものであるという事実を告げられたデンマークの王子ハムレットは、固い復讐を誓う。道徳的で内向的な彼は、日夜狂気を装い懐疑の憂悶に悩みつつ、ついに復讐を遂げるが自らも毒刃に倒れる―。恋人の変貌に狂死する美しいオフィーリアとの悲恋を織りこみ、数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作である。
引用:Amazon(商品説明より)
商品レビューは、コスパの高い文章です。本を売るために書かれた文章だから、ムダが少ないです。
読者の興味を引くように端的にまとめられています。
商品レビューは、あらすじの「超概要」をつかむのに有効です。
舞台設定(時代・場所)
・時代:9世紀頃。
・場所:デンマーク王国。
とりえず、作品の舞台をグーグルマップでイメージしておくと便利です。とくに、海外の作品は、なじみの少ない固有名詞がバンバン出てきます。
地理的に同じでも、時代が変わると国名が変わることがあります。
そんな時、物語の舞台設定を地図でイメージしておけば(メモをしておけば)、情報の迷子になりません。
ちなみに、劇中の時代設定(9世紀頃)において、当時のデンマーク人の一部は、ヴァイキングとしてヨーロッパ諸国をめぐり、侵略行為を行っていたようです。
登場人物(関係性)
これがチェックすべき主要メンバーです。
ここでは、関係性を2つの家系に分けておさえます。
①王族の家系
・先代ハムレット王(亡霊として登場)
・ガートルード王妃
・ハムレット王子
・クローディアス王(ハムレット王の弟。ガートルード王妃の再婚相手)
身内に毒殺された、先代ハムレット王は「亡霊」となってハムレット王子の前に姿をあらわします。
ハムレット王子は「亡霊」である父親ハムレット王の証言を耳にします。証言によると、ハムレット王を殺害したのはローディアスである、と。
ハムレット王の死後、ガートルード王妃はわずか2ヶ月で叔父のクローディアス王と再婚。
ハムレット王子は、父親の死、母親の不貞ぶり、叔父の陰謀に、狂乱状態になります。
ハムレット王子は、父親の復習をちかうも、やがて「生きるべきか、死ぬべきか」と人生の根源的な悩みに、意識が絡みとられていきます。
②家臣の家系
・ポローニアス(デンマーク王国の家臣)
・レアティーズ(ボローニアスの息子)
・オフィーリア(ボローニアスの娘、ハムレット王子の恋人)
家臣のボローニアスは、クローディアス王の側近に付き、ハムレット王子の行動に警戒します。
一方で、ポローニアスの娘であるオフィーリアは、ハムレット王子の恋人のような仲。そのため、ボローニアスは王族の人々と親密な関係にあり、劇中でも王族と家臣をつなぐキーマン的な役割をはたしています。
ところが、劇中半ば、アクシデントのような形で、ポローニアスはハムレット王子に殺害されます。さらに、この事故にショックを受け、オフィーリアも死んでしまいます。
このような事態を受けて、レアティーズはハムレット王子に決闘を挑みます。
知らない固有名詞が増えると、頭がパンクします。外国語はなおのこと。
この登場人物の相関図をメモや付箋代わりに、途中、チラ見しながら読書することをおすすめします。
また、オーディオブックで作品を楽しむ場合にも、この登場人物の相関図は重宝します。オーディオブックは「返り読み」には不向きであるため、前提条件や設定を振り返るときに役立ちますよ。
『ハムレット』感想
ここからは、引用を絡めた個人的な感想です。
ハムレット:だから不思議な客と思ってそっとしておいてくれ。この天と地のあいだにはな、ホレーシオ、哲学などの思いもよらぬことがあるのだ。それはともかく、ここではいい、さきほどと同じように誓ってくれ、 たとえおれがどんな奇矯なふるまいをしようと…<中略>… 何か知ってるそぶりを見せないでほしい。
第一幕 第五場 亡霊、ハムレット、ホレーシオ
引用:『ハムレット』小田島雄志=訳(白水社)p63ー64
ハムレットは狂った「フリ」をすることにします。
亡霊(先代のハムレット王)は、ハムレット王子に自分が殺された真相を語ります。
真相を知ったハムレット王子は、狂人の「フリ」をして、真犯人クローディアス王に復習することを心に決めます。
亡霊との対面以降、ハムレット王子はエキセントリックな言動や行動をとって、周囲の人間を動揺させます。
ポローニアス:ハムレット様、なにをお読みで?
ハムレット:ことば、ことば、ことば。
ポローニアス:いえ、その内容で?
ハムレット:ないよう?おれにはるように思えるが。
第二幕 第二場 読書中のハムレットにボローニアスが話しかける場面
引用:『ハムレット』小田島雄志=訳(白水社)p85
狂った「ことば」です。
読書中に「何を読んでいるのか」というボローニアスの質問に対し、ハムレットは「ことばを読んでいる」と答えます。
狂人的な回答だと思いつつも、なかなかラディカルな返答です。
あくまでハムレット王子は狂った「フリ」の状態ですしね。
もしかすると、他の人間は読書中に「ことば」さえも読めないだろう、というシェイクスピアの皮肉かもしれません。
ハムレット:その必要はない、前兆などいちいち気にしてもはじまらぬ。雀一羽落ちるのも神の摂理。来るべきものはいま来ればあとに来ない、あとで来ないならばいま来るだろう、いまでなくても必ず来るものは来るのだ。なによりも覚悟が肝要。人間、すてるべきいのちについてなにがわかっている?とすれば、早くすてることになったとしても、それがどうだというのだ?かまうことはない。
第五幕 第二場 レアティーズとの決闘前、ホレイショーに思いを語る
引用:『ハムレット』小田島雄志=訳(白水社)p233
レアティーズとの決闘直前、ハムレット王子に胸さわぎが起こります。
そこで、友人のホレイショーは決闘の延期を提案します。
しかし、ハムレット王子は決闘することを選びました。
どうやら、そこに神の意志を感じとったようです。
物語の最初、ハムレット王子は狂った「フリ」をするなどして、意識的な立ち振る舞いをとっていました。
ところが、物語の終盤、ハムレットは自分の意志ではない、神の意志を尊重、無意識的な運命に身をゆだねるようなスタンスをとっています。
『ハムレット』まとめ
最後に、本記事の内容、
- 『ハムレット』読む前に
- 『ハムレット』あらすじ
- 『ハムレット』感想
の3つをサクッと振り返ります。
まとめ①_読む前に
原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。
その理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。
書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、オーディオブックや映画など、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです。
・基本情報
作品名 | 『ハムレット』 |
著者 | ウィリアム・シェイクスピア(1564–1616)享年52歳 |
出版国 | イングランド |
出版年 | 1603年(推定執筆年1600) |
執筆時の年齢 | 36歳 |
分量 | 約240ページ |
ジャンル | 悲劇作品 |
電子書籍 | ▶︎ Kindle本 |
関連の音声コンテンツ | ▶︎ 『1000分くらいでわかるシェイクスピアBest20』 |
関連の映像コンテンツ | ▶︎ 映画『ハムレット』 |
同世代の作家/代表作 | ミゲル・デ・セルバンテス(1547−1616:出版時43歳)スペインの作家/『ドンキホーテ』(1605)。 |
まとめ②_あらすじ
・商品レビュー
城に現われた父王の亡霊から、その死因が叔父の計略によるものであるという事実を告げられたデンマークの王子ハムレットは、固い復讐を誓う。道徳的で内向的な彼は、日夜狂気を装い懐疑の憂悶に悩みつつ、ついに復讐を遂げるが自らも毒刃に倒れる―。恋人の変貌に狂死する美しいオフィーリアとの悲恋を織りこみ、数々の名セリフを残したシェイクスピア悲劇の最高傑作である。
引用:Amazon(商品説明より)
・舞台設定(時代・場所)
時代:9世紀頃
場所:デンマーク王国
・登場人物(相関関係:図参照)
①王族の家系
・先代ハムレット王(亡霊として登場)
・ガートルード王妃
・ハムレット王子
・クローディアス王(ハムレット王の弟。ガートルード王妃の再婚相手)
②家臣の家系
・ポローニアス(デンマーク王国の家臣)
・レアティーズ(ボローニアスの息子)
・オフィーリア(ボローニアスの娘、ハムレット王子の恋人)
まとめ③_感想
ハムレット:だから不思議な客と思ってそっとしておいてくれ。この天と地のあいだにはな、ホレーシオ、哲学などの思いもよらぬことがあるのだ。それはともかく、ここではいい、さきほどと同じように誓ってくれ、 たとえおれがどんな奇矯なふるまいをしようと…<中略>… 何か知ってるそぶりを見せないでほしい。
第一幕 第五場 亡霊、ハムレット、ホレーシオ
引用:『ハムレット』小田島雄志=訳(白水社)p63ー64
『ハムレット』のおおまかな私の感想は、
「言葉と行動が思考を作る」です。
人間は思考によって行動している、と思いがち。しかし、実際のところ、言葉や行動が思考を決定しています。
狂った言葉を使うと、行動が狂う。
狂った行動をとると、思考が狂う。
劇中において、ハムレット王子は、狂った芝居をしているうちに、芝居と現実の境目が見えなくなってきたのかもしれません。
亡霊との対話から、狂った「フリ」をして復讐することを決意したハムレット王子。周囲の目をだますため、おかしな発言や行動を繰り返してきました。
ことば、ことば、ことば…と、先の引用のように、言葉の根源的な価値にもふれています。
そもそも論ですが、亡霊を見たという事実そのものが正気の沙汰ではありません。ハムレット王子以外の登場人物も、なかなかの劇場的な心理で冷静さを欠いているように思います。
シェイクスピアは、観客や読者に「あなたは正気ですか?」と問いかけているように思います。
もちろん、感想は人それぞれです。
ただ、ひとつの読み方として、物語の前提知識や基本情報をおさえ、読書することをおすすめします。
本記事は、作品を読む際のコンパスのようなもの。
方向性が決まれば、それぞれの目的で『ハムレット』を楽しんで下さい。
・小田島雄志訳(1983)
・松岡和子訳(1996)
・河合祥一郎訳(2012)
