
上記のような疑問にお答えします。

本記事の内容
- 『リア王』読む前に
- 『リア王』あらすじ
- 『リア王』感想
- 『リア王』まとめ

・小田島雄志訳(1983)
・松岡和子訳(1997)
・河合祥一郎訳(2020)
『リア王』をザックリ言うと…
遺産相続で、娘たちの本性を知って絶望する王様の話。現代でも十分にありがちな親子関係のトラブル。国王とその3人娘とのエゴイスティックなやりとりが描かれています。
そんな感じです。
もちろん、遺産相続にともなう親子関係のトラブルだけではありません。
『リア王』には人間の欲望や弱さなどの根源的なテーマが盛り込まれています。
現在の私たちがかかえる問題にも通じるテーマが、シンプルな言葉で語られています。
とはいえ…
質問者のように作品に対して「ハードルの高さ」を感じている場合もありますよね。

というわけで、内容をサクッと知りたい方は、本記事の「読む前に」と「あらすじ」だけを読めばオッケーです。
あるいは、オーディオブックや映像で作品の全体象をイメージするのは超おすすめです。
『リア王』をオーディオブックで楽しむ
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『リア王』を映像で楽しむ
・Amazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスで視聴可能
※契約中のVODサービスがあれば、検索してみてください。
・舞台設定は原作と異なるがエッセンスはつかめる。
・映画を2時間観るだけで物語の全体像が分かる。
作品の背景や前提をチェック出来たら、ぜひ原書を読んで下さい。
それでは、行ってみましょう。
『リア王』読む前に
ちょっと難しく感じる作品(特に外国の古典作品)を読む場合、原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。
優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。その理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。
この記事では、作品の基本情報、著者の略歴、時代背景などを簡潔にお伝えします。
ちなみに、テキストで理解しにくい場合、オーディオブックや映画など、原作の関連コンテンツに触れることもおすすめです。
基本情報
作品名 | 『リア王』 |
著者 | ウィリアム・シェイクスピア(1564–1616)享年52歳 |
出版国 | イングランド |
出版年 | 1608年(推定執筆年1605〜1606年) |
執筆時の年齢 | 41歳頃 |
分量 | 約150ページ |
ジャンル | 悲劇 |
電子書籍 | ▶︎ Kindle本 |
関連の音声コンテンツ | ▶︎『1000分くらいでわかるシェイクスピアBest20』 |
関連の映像コンテンツ | ▶︎『アンソニー・ホプキンスのリア王』 |
同世代の作家/代表作 | ゲル・デ・セルバンテス(1547−1616:スペイン)代表作『ドンキホーテ』(1605:43歳) |
時代背景
『リア王』が発刊されたのは、1608年です。
当時のイングランドは、宗教改革後のデューダー王朝の末期。国家のトップはエリザベス女王です。
この頃、イングランド王国はスペイン王国との戦争に勝利して経済的な成功を果たします。スペインの国王フェリペ2世がひきいる「無敵艦隊」をアルマダの海戦で破りました。
さらに、東インド会社を設立して、羊毛産業でお金持ちになりました。戯曲などの「エンタメ」が成立するためには、経済的なゆとりという「余剰」が必要なのでしょう。
シェイクスピアの作品は、経済的に成熟した国家に求められていたことがうかがえます。
このような「余剰」を埋めるひとつの手段として『オセロー』は読まれました。
著者の略歴
画像引用:Wikipedia
著者のシェイクスピア(1564ー1616)は、イングランド出身の劇作家です。
大部分の作品(戯曲や詩)を1589年から1613年(25歳〜49歳)に執筆しました。
『リア王』は、シェイクスピアが41歳ころに書いた悲劇作品。
卓越した人間観察や心理描写により「万の心を持つ」と形容されています。生涯で戯曲40作を執筆し、次世代の文学者に圧倒的な影響を残しています。
喜劇『じゃじゃ馬ならし』『夏の夜の夢』、悲劇『リア王』『ハムレット』、歴史劇『ヘンリー八世』など。

『リア王』あらすじ
作品の「あらすじ」を効率的に理解する場合、
- 商品レビュー
- 舞台設定(時代・場所)
- 登場人物(関係性)
の3つをチェックすればオッケーです。
その他、作品独自のルールやテーマがあれば、要チェックです。
サクッとあらすじを理解するだけで、理解度が飛躍的にアップします。
商品レビュー
老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。四大悲劇のうちの一つ。
引用:Amazon(商品説明より)
商品レビューは、コスパの高い文章です。本を売るために書かれた文章だから、ムダが少ないです。
読者の興味を引くように端的にまとめられています。
商品レビューは、あらすじの「超概要」をつかむのに有効です。
舞台設定(時代・場所)
・時代:12世紀頃(史実的には、ヘンリー2世が生きていたころか)
・場所:ブリテン王国(史実的には、ヘンリー2世が統治していたアンジュー帝国の領土か)
ちょっとしたことですが、作品のロケーションを地図上でイメージしておくと便利です。
『リア王』の場合は、地理的には、現在のイギリスとフランスの一部ですね。
リア王の狂言的セリフが発せられる荒野は、イギリス最南端のドーバーという設定。
イリギスとフランスをはさむドーバー海峡が想像されますね。
読書中に知らない地名(実在・架空ともに)がたくさん出てくると、ちょっとパニックになります。
そんな時、物語の舞台設定を地図でイメージしておけば(メモをしておけば)、情報の迷子になりません。
登場人物(関係性)
かなり簡略化しましたが、これがチェックすべき主要メンバーです。
ここでは、登場人物の属性を、大きく2つに分けます。
①リア王とその娘たち
②グロスター伯爵
①リア王とその娘たち
・リア王:ブリテン王国の国王
・長女(ゴネリル):おせじを言って、必要以上にリア王の気を引こうとする。
・次女(リーガン):おせじを言って、必要以上にリア王の気を引こうとする。
・三女(コーディーリア):おせじは言わず、最低限の感謝の気持ちのみ伝える
ブリテン王国を統治していたリア王。老齢のため退位を決意します。
領土は娘たちに分け与える、と。ただし、領土の遺産相続にともない、娘たちの自分に対する愛情がどれくらいあるのかをテストします。
長女(ゴネリル)と次女(リーガン)は、言葉巧みに心にもない愛情表現を並べ立て、リア王の承認欲求を満足させます。
一方、三女(コーディーリア)は、お世辞は言わず、子として最低限の感謝の気持ちを語るのみ。
リア王は、期待していた三女コーディーリアから裏切られた気分になり、憤慨します。
リア王は三女コーディーリアに資産分配を行わず、結果、三女(コーディーリア)は、無一文の状態で異国のフランス王の王妃となります。
ところが、遺産を相続した途端、長女(ゴネリル)と次女(リーガン)は、手のひらを返したように、リア王を老害扱いします。
②グロスター伯爵
・グロスター伯爵:リア王の家臣
・エドガー:正妻との子
・エドマンド:愛人との子
グロスター伯爵は、リア王の家臣です。二人の息子は、腹ちがい。
長男エドガーは、正妻との間に出来た息子。次男エドマンドは、愛人との間に生まれた息子。
次男のエドマンドは、愛人との間に生まれた、という理由で不遇の人生を歩んできました。その恨みから、グロスター伯爵と長男を陥れるようにさまざまな策略を企てます。
リア王の娘、グロスター伯爵の息子、2つの親子関係が絡み合います。
次男エドマンドも、リア王の長女と次女のように、言葉巧みに相手の心理をあやつります。
リア王、三女コーディーリアの本物の愛情を知るも、時すでに遅し。グロスター伯爵、長男エドガーの思いを汁も、時すでに遅し。
いづれも、思いとはうらはらな言葉や行動によって、物語の悲劇がはじまります…
※ちなみにブリテン王国時代の貴族階級は5段階
ブリテン王国の貴族階級(偉い順→)
公爵 → 侯爵 → 伯爵 → 子爵 → 男爵
登場人物の名前がたくさん出てくると、頭がゴチャゴチャになりませんか。海外の作品なら、なおのこと。
そこで、この登場人物の相関図をメモや付箋代わりに、チラ見しながら読書することをおすすめします。
また、オーディオブックで作品を楽しむ場合にも、この登場人物の相関図は重宝します。オーディオブックは「返り読み」には不向きであるため、前提条件や設定を振り返るときに役立ちますよ。
『リア王』感想
ここからは、引用を絡めた個人的な感想です。
道化:人間の脳みそが踵にあったら、やっぱり脳みそもあかぎれになるんかな。
リア:なるだろうな。
道化:でもおまえさんはだいじょうぶだ、どこにでもでかけるような踵には、あかぎれになるほどの知恵もないからな。
リア:ハッ、ハッ、ハッ。
引用:『リア王』小田島雄志=訳(白水社)p62第一幕
遺産相続後、リア王が長女ゴネリルにつめたくあしらわれます。
そこで、次女リーガンの世話になろうとリーガンの夫コーンウォール公爵に手紙を書きます。
が、そのようなリア王の軽率な行動に対して、道化が茶化している場面です。
上記引用のみならず、ことあるごとに、道化はリア王の行動にツッコミを入れます。
当時、道化という職業があり、知恵や歌で貴族のご機嫌を取り、言いたい放題。劇中でも道化はアホ扱いを受けますが、実は賢くないと出来ないスキルを備えています。
道化の視点は、一種のクリティカルシンキングですね。
いわば、シェイクスピアの批判的精神が道化のセリフにたくされている、といっても過言ではありません。
リア:わたしの不幸を泣いてくれるなら、この目をやろう。
おまえのことはよく知っておる。グロスターだろう。
忍耐せねばならぬぞ、人間、泣きながらこの世にやってくる、
そうだろう、はじめて息を吸いこむとき、
おぎゃあおぎゃあと泣くだろう。
おまえに一つ説教してやろう。
グロスター:ああ、なんとおいたわしい!
リア: 人間、生まれてくるとき泣くのはな、この阿保どもの舞台に引き出されたのが悲しいからだ。
第4幕 第6場 ドーヴァーに近い野原
引用:『リア王』小田島雄志=訳(白水社)p186
期待していた人間からの裏切りを受けて、狂乱しているリア王。
陥れられ、目をえぐられ、絶望寸前のグロスター伯爵。
どん底の2人(リア王、グロスター伯爵)を前にした、人間の産声に関するのシェイクスピアの考察です。
思わずため息が出そうになりますね。
人間は生まれてきたことが悲しいから泣いている、と。
みなさんはどう思いますか。
『リア王』まとめ
最後に、本記事の内容
- 『リア王』読む前に
- 『リア王』あらすじ
- 『リア王』感想
の3つを振り返ります。
まとめ①_読む前に
原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。
その理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。
ちなみに、テキストで理解しにくい場合、オーディオブックや映画など、原作の関連コンテンツに触れることもおすすめです。
・基本情報
作品名 | 『リア王』 |
著者 | ウィリアム・シェイクスピア(1564–1616)享年52歳 |
出版国 | イングランド |
出版年 | 1608年(推定執筆年1605〜1606年) |
執筆時の年齢 | 41歳頃 |
分量 | 約150ページ |
ジャンル | 悲劇 |
電子書籍 | ▶︎ Kindle本 |
関連の音声コンテンツ | ▶︎『1000分くらいでわかるシェイクスピアBest20』 |
関連の映像コンテンツ | ▶︎『アンソニー・ホプキンスのリア王』 |
同世代の作家/代表作 | ゲル・デ・セルバンテス(1547−1616:スペイン)代表作『ドンキホーテ』(1605:43歳) |
まとめ②_あらすじ
・商品レビュー
老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。四大悲劇のうちの一つ。
引用:Amazon(商品説明より)
・舞台設定(時代・場所)
時代:12世紀頃(史実的には、ヘンリー2世が生きていたころか)
場所:ブリテン王国(史実的には、ヘンリー2世が統治していたアンジュー帝国の領土か)
・登場人物(相関関係:図参照)
①リア王とその娘たち
・リア王:ブリテン王国の国王
・長女(ゴネリル):おせじを言って、必要以上にリア王の気を引こうとする。
・次女(リーガン):おせじを言って、必要以上にリア王の気を引こうとする。
・三女(コーディーリア):おせじは言わず、最低限の感謝の気持ちのみ伝える
②グロスター伯爵
・グロスター伯爵:リア王の家臣
・エドガー:正妻との子
・エドマンド:愛人との子
まとめ③_感想
リア:わたしの不幸を泣いてくれるなら、この目をやろう。
おまえのことはよく知っておる。グロスターだろう。
忍耐せねばならぬぞ、人間、泣きながらこの世にやってくる、
そうだろう、はじめて息を吸いこむとき、
おぎゃあおぎゃあと泣くだろう。
おまえに一つ説教してやろう。
第4幕 第6場 ドーヴァーに近い野原
引用:『リア王』小田島雄志=訳(白水社)p186
『リア王』を読むと、他人への過剰な期待を感じます。
リア王は、他人に対する必要以上の期待があったり、あるいは、他人の心理を理解できるという傲慢な気持ちがあるため、裏切られたと感じることが多いのではないか、と。
もちろん、感想は人それぞれです。
ただ、ひとつの読み方として、物語の前提知識や基本情報をおさえ、読書することをおすすめします。
本記事は、作品を読む際のコンパスのようなものです。
方向性が決まれば、それぞれの目的で『リア王』を楽しんで下さい。
・小田島雄志訳(1983)
・松岡和子訳(1997)
・河合祥一郎訳(2020)
