
この記事では、上記のような質問に答えます。

本記事の内容
- 『夏の夜の夢』読む前に
- 『夏の夜の夢』あらすじ
- 『夏の夜の夢』感想
- 『夏の夜の夢』まとめ

・小田島雄志訳(1983)
・松岡和子訳(1997)
・河合祥一郎訳(2015)
『夏の夜の夢』をザックリ言うと…
恋愛感情は人間の行動を盲目にします。これは、現代にも通じる人間的な本能。アテネの森の中、3色スミレという「惚れ薬」が「人間」と「妖精」の恋愛行動を狂わせます。まさに夢のような不可解なストーリーを喜劇的に描いた作品。
そんな感じです。
「恋は人を盲目にする」
というフレーズ、聞いたことありませんか?
実際、恋が人を馬鹿にするというのは、脳科学的にも証明されています。人は誰かのことを好きになると、脳の快楽中枢が強く反応するようです。
恋愛をしている人の脳内は麻薬中毒の人と同じ。『夏の夜の夢』は、「恋は人を盲目にする」というフレーズの意味するところを、物語を通して表現しています。
なかなか興味深いお話ですが‥
質問者のように、シェイクスピア作品はちょっと言い回しがややこしく「話の本筋がつかみにくい」場合があります。

というわけで、内容をサクッと知りたい方は、本記事の「読む前に」と「あらすじ」だけを読めばオッケーです。
あるいは、オーディオブックや映像で作品の全体象をイメージするのは超おすすめです。
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作品の背景や前提をチェック出来たら、ぜひ原書を読んで下さい。
それでは、行ってみましょう。
『夏の夜の夢』読む前に
ちょっと難しく感じる作品(特に外国の古典作品)を読む場合、原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。
優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。その理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。
この記事では、作品の基本情報、著者の略歴、時代背景などを簡潔にお伝えします。
ちなみに、書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、オーディオブックや映画など、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです。
基本情報
作品名 | 夏の夜の夢 |
著者 | ウィリアム・シェイクスピア(1564–1616)享年52歳 |
出版国 | イングランド |
出版年 | 1600年 |
執筆時の年齢 | 36歳 |
分量 | 約150ページ |
ジャンル | 喜劇作品 |
電子書籍 | ▶︎ Kindle本 |
関連の音声コンテンツ | ▶︎『1000分くらいでわかるシェイクスピアBest20』 |
関連コンテンツ | ▶︎ 舞台DVD『夏の夜の夢』 |
同世代の作家/代表作 | ミゲル・デ・セルバンテス(1547−1616:出版時は43歳):スペインの作家/『ドンキホーテ』(1605) |
時代背景
『夏の夜の夢』が発刊されたのは、1600年です。
当時のイングランドは、宗教改革後のデューダー王朝の末期。国家のトップはエリザベス女王です。
この頃、イングランド王国はスペイン王国との戦争に勝利して経済的な成功を果たします。スペインの国王フェリペ2世がひきいる「無敵艦隊」をアルマダの海戦で破りました。
さらに、東インド会社を設立して、羊毛産業でお金持ちになりました。戯曲などの「エンタメ」が成立するためには、経済的なゆとりという「余剰」が必要なのでしょう。
シェイクスピアの作品は、経済的に成熟した国家に求められていたことがうかがえます。このような「余剰」を埋めるひとつの手段として『夏の夜の夢』は読まれました。
著者の略歴
画像引用:Wikipedia
著者のシェイクスピア(1564–1616)享年52歳は、イングランド出身の劇作家。大部分の作品(戯曲や詩)を1589年から1613年(25歳〜49歳)に執筆しました。
『夏の夜の夢』は、シェイクスピアが36歳ころに書いた喜劇作品。シェイクスピア作品としては初期にあたります。
この頃、シェイクスピアは劇作家としての頭角をあらわしてきた時期。宮内一座のおかかえ作家として活躍しはじめました。
卓越した人間観察や心理描写により、シェイクスピアの才能は「万の心を持つ」と形容されています。生涯で戯曲40作を執筆し、次世代の文学者に圧倒的な影響を残しています。
喜劇『じゃじゃ馬ならし』、悲劇『リア王』『ハムレット』、歴史劇『ヘンリー八世』など。

『夏の夜の夢』あらすじ
作品の「あらすじ」を効率的に理解する場合、
- 商品レビュー
- 舞台設定(時代・場所)
- 登場人物(関係性)
の3つをおさえればオッケーです。
その他、作品独自のルールやテーマなどがあればおさえておきます。
サクッとあらすじを理解するだけで、理解度が飛躍的にアップします。
商品レビュー
アテネ近くのとある森の中、妖精の王と后は喘嘩の真っ最中。運悪くそんな折に森を訪ねた二組の男女は、そそっかしい妖精パックに惚れ薬を誤用されていまう。薬のせいで関係がこじれ決闘を始めてしまった二人の男を止めようと、妖精パックは必死に駆け回るが…。幻想的な月夜の晩に妖精と人間が織りなす詩情豊かな傑作喜劇。
引用:Amazon(商品説明)
商品レビューは、コスパの高い文章です。本を売るために書かれた文章だから、ムダが少ないです。
読者の興味を引くように端的にまとめられています。
商品レビューは、あらすじの「超概要」をつかむのに有効です。
舞台設定(時代・場所)
・時代:不明
・場所:アテネ(ギリシアの首都)の森の中
ちょっとしたことですが、作品のロケーションを地図上でイメージしておくと便利です。
読書中に知らない地名(実在・架空ともに)が出てくることは、多々あります。
『夏の夜の夢』の詳細な時代設定は不明ですが、夏至祭(キリスト教の聖ヨハネ祭)をモチーフにしています。ちなみに、劇中の設定では、5月祭前夜の4月30日。
さらに、『夏の夜の夢』というタイトルは、夏至祭での羽目の外しぶりを「夏至祭の狂気」と呼んだことをふまえているようです。
夏至祭の夜露と薬草には不思議な効果がある、言い伝えがあります。
この言い伝えをヒントに、シェイクスピアは「三色スミレ」という魔法の惚れ薬を思いつき、劇中で効果的に使われています。
登場人物(関係性)
かなり簡略化しましたが、これがチェックすべき主要メンバーです。
ここでは、登場人物の属性を大きく2つに分けます。
・人間の世界
・妖精の世界
人間の世界
<貴族社会>
・シーシュース(公爵)
・ヒポリタ(女王)
・イージーアス(貴族)
・ライサンダー(貴族の青年)
・ハーミア(貴族イージーアスの娘)
・ディミートリアス(貴族の青年)
・ヘレナ(貴族階級の娘:ハーミアの幼馴染み)
<一般庶民>
・ボトム
妖精の世界
<妖精の世界>
・オーベロン(王)
・ティターニア(女王)
・パック(いたずら好き)
ライサンダーとハーミアは、かけおちをします。なぜなら、ハーミアの父であるイージアスが、2人の結婚を認めてくれないからです。
しかし、話はもうちょっとだけ複雑です。ひちまず、4人の若者の恋愛関係をサクッと解説します。
ライサンダーハーミアは恋人同士。しかし、ハーミアはディミートリアスからも言い寄られています。さらに、ディミートリアスは、ハーミアの友人ヘレナから言い寄られています。ちょっとヘレナがかわいそうな感じです。
上記の相関図でイメージしていただければ、と思います。
それを見ていた妖精バックが、ヘレナのことをかわいそうに思いました。
バックは、魔法の惚れ薬である3色スミレをディミートリアスに塗ることにしました。
ところが、パックはこの3色スミレを、ディミートリアスではなくライサンダーに間違えて塗りました。そこから、この男女関係にさらなる混乱が起こります…。
3色スミレの効能:寝ているときに、3色スミレをまぶたに塗られたj人は、目覚めたときに初めて目にした人のことを好きになってしまう。
作品を読み進める中で、作品独自のルールや知らない固有名詞が増えると、頭がパンクします。外国語はなおのこと。
そこで、この登場人物の相関図をメモや付箋代わりに、途中、チラ見しながら読書することをおすすめします。
また、オーディオブックで作品を楽しむ場合にも、この登場人物の相関図は重宝します。オーディオブックは「返り読み」には不向きであるため、前提条件や設定を振り返るときに役立ちますよ。
『夏の夜の夢』感想
ここからは、引用を絡めた個人的な感想です。
目覚めて見るのがなんであれ、
それがおまえの恋人たれ、
それにたちまち恋こがれ、
山猫であれ、熊であれ、
猪であれ、豹であれ、
その目に恋人とうつれ。
化け物くるまでよく眠れ。
第2幕 第2場 オーベロンのセリフ
引用:『夏の夜の夢』小田島雄志=訳(白水社)p50
ここでは、恋の3色スミレの効能が歌われています。
まず、恋の3色スミレの汁を眠っている者の目に塗ります。すると、3色スミレの汁を塗られた者は、目を覚まして最初に見た者に恋をしてしまう。
作品中では、どうだったか。
妖精バックが、恋の3色スミレの汁を眠っているライサンダーの目に塗りました(本来は、ディミートリアスに塗るべきだったのですが)。
ライサンダーが目を覚ますと、目の前にはヘレナがいましたすると、ライサンダーはヘレナに恋をし始めます(本来の恋人であるハーミアではなく)
ライサンダーの急変ぶりに、ヘレナとハーミアは大混乱。そりゃそうですよね。
これを機に、男女4人に複雑なトラブルが発生します。
恋するものと気ちがいはともに頭が煮えたぎり、
ありもしない幻を創り出すのだ、そのために
冷静な理性では思いもよらぬことを考えつく。
狂人、恋人、それに詩人といった連中は、
すべてこれ想像力のかたまりと言っていい。
第5幕 第1場 シーシュース公爵のセリフ
引用:『夏の夜の夢』小田島雄志=訳(白水社)p120
ちょっと乱暴なイコール関係
恋をしている人 = ちょっと頭のおかしな人 = 想像力のある人
たしかに、人は恋をしているとき、詩人のような想像力を発揮します。
『夏の夜の夢』の作中、恋の3色スミレを塗られた人間は、もれなく恋に盲目的となり、あり得ない行動をとります。
実際、3色スミレを塗られた者は、夢遊病者のように不可解な行動を起こし、まわりの人間を巻き込んでいきます。
『夏の夜の夢』まとめ
最後に、本記事の内容、
- 『夏の夜の夢』読む前に
- 『夏の夜の夢』あらすじ
- 『夏の夜の夢』感想
の3つをサクッと振り返ります。
まとめ①_読む前に
原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。
その理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。
書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、オーディオブックや映画など、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです。
まとめ②_あらすじ
・商品レビュー
アテネ近くのとある森の中、妖精の王と后は喘嘩の真っ最中。運悪くそんな折に森を訪ねた二組の男女は、そそっかしい妖精パックに惚れ薬を誤用されていまう。薬のせいで関係がこじれ決闘を始めてしまった二人の男を止めようと、妖精パックは必死に駆け回るが…。幻想的な月夜の晩に妖精と人間が織りなす詩情豊かな傑作喜劇。
引用:Amazon(商品説明)
・舞台設定(時代・場所)
時代:不明
場所:アテネ(ギリシアの首都)の森の中
・登場人物(相関関係:図参照)
<貴族社会>
・シーシュース(公爵)
・ヒポリタ(女王)
・イージーアス(貴族)
・ライサンダー(貴族の青年)
・ハーミア(貴族イージーアスの娘)
・ディミートリアス(貴族の青年)
・ヘレナ(貴族階級の娘:ハーミアの幼馴染み)
<一般庶民>
・ボトム
<妖精の世界>
・オーベロン(王)
・ティターニア(女王)
・パック(いたずら好き)
まとめ③_感想
恋するものと気ちがいはともに頭が煮えたぎり、
ありもしない幻を創り出すのだ、そのために
冷静な理性では思いもよらぬことを考えつく。
狂人、恋人、それに詩人といった連中は、
すべてこれ想像力のかたまりと言っていい。
第5幕 第1場 シーシュース公爵のセリフ
引用:『夏の夜の夢』小田島雄志=訳(白水社)p120
『夏の夜の夢』を読んだ後、想像力にはある種の「アホさ」の必要性を感じます。
シェイクスピアは、このあたりの感覚に鋭かったと思います。シェイクスピア自身、恋多き人生を送っており、また、夢の中で見た不条理な感覚を作品に取り入れたのかもしれません。
『夏の夜の夢』で、森は「眠り」のメタファーのように描かれています。
夜の森では、夢のような不可解な出来事がおこります。3色スミレによって、人間の世界も、妖精の世界もメチャクチャになります。そして、夜明けとともに、その夢はさめます。
覚醒と睡眠を行ったり来たりする意識。
私自身、夢を見たあと、なんとも言えない感覚におそわれることがあります。一方、夢の中で斬新なアイデアが思い浮かび、仕事に活用することもあります。
レム睡眠、ノンレム睡眠、睡眠負債、クロノタイプ…。
現代社会において、睡眠の必要性はますます注目されています。『夏の夜の夢』では物語を通して「恋」や「眠り」について考えてみるのもいいですね。
もちろん、感想は人それぞれ。本記事は、作品を読む際のコンパスのようなものです。ひとつの読み方として、物語の前提知識や基本情報をおさえ、読書することをおすすめします。
方向性が決まれば、それぞれの目的で『夏の夜の夢』を楽しんで下さい。
・小田島雄志訳(1983)
・松岡和子訳(1997)
・河合祥一郎訳(2015)
