文学

ヘシオドス『神統記』ギリシア神話マルっとまとめ【要約・感想】

神統記【要約・感想】アイキャッチ画像
しつもん君
ヘシオドスの『神統記』ってどんな内容?ギリシア神話…?興味はあるんだけど、かなり昔の海外の本みたいで、よく分からない。実際の本を読む前に、どんな内容かを知りたいな。

 

この記事では、上記の質問にお答えします。

 

当ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。書評ブロガーのリハビリ文学です。ちょっとむずかしめの本を分かりやすく紹介しています。普段は介護施設のリハビリ職員として働き、老いや人生についてあれこれ考えています。
りはぶん

 

 本記事の内容

  • 『神統記』読む前に
  • 『神統記』あらすじ
  • 『神統記』感想
  • 『神統記』まとめ

 

『神統記』をザックリ言うと…

ギリシア神話に登場するたくさんの神様たちを、マルっとまとめました。

 

そんな感じです。

 

語り部は、吟遊詩人ヘシオドス

 

吟遊詩人とは、ポエムをリズミカルに読み聴かせる人のことです。

 

あえて現代風にいうと「スピリチュアルな社会派ラッパー」(そんなジャンルありませんが…)。

 

『神統記』は、ギリシア神話のひとつ。「宇宙の起源」「神の存在」など、根源的なテーマが体系的に、つらつらと書かれています。

 

世界を支配するゼウスの特権的なストーリーは、迷えるギリシア民族の心をグッとつかみました。

 

ただし、登場人物(神様)の数がめちゃくちゃ多いので、基本メンバーをおさえておくことをオススメします

 

内容をサクッと知りたい方は「読む前に」と「あらすじ」だけを読めばオッケーです。作品の基本情報前提知識がチェック出来たら、ぜひ原書を読んで下さい。

 

それでは、行ってみましょう。

 

『神統記』読む前に

 

 

ちょっと難しく感じる作品(特に外国の古典作品)を読む場合、原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。

 

優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。その理由は、読者の頭の中に、作品の時代背景や常識といった基本情報、前提知識が不足しているからです。

 

この記事では、作品の基本情報、著者の略歴、時代背景などを簡潔にお伝えします。

 

ちなみに、書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、オーディオブックや映画など、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです。

 

基本情報

 

作品名 『神統記』
著者 ヘシオドス(紀元前700年頃)
出身地:ギリシアのヘリコン山近郊?(ギリシア半島南部に位置する山)
出版国 ギリシア
出版年 紀元前700年頃(現存する世界最古の叙事詩)
執筆時の年齢 30歳代前半(推定
分量 約125ページ(約1000行の詩集)
ジャンル 叙事詩
電子書籍 ×
オーディオブック ×
関連コンテンツ ×
同世代の作家/代表作 特に情報なし

 

時代背景

 

『神統記』が発刊されたのは、紀元前700年頃です。

 

紀元前700年頃のヨーロッパ全土は、民族同士の争いが絶えませんでした。

 

不安定な状況下に求められるのは、強力なリーダースローガンです

 

当時のギリシア人は、小高い山に神殿などを建てて「ポリス」というコミュニティを形成して集住生活を始めました。

 

このポリス内では、日常的に裁判会議が行われていました。そこに、吟遊詩人たちもワラワラとやって来て、各々の作品を発表します。

 

で、コミュニティの発表会で「バズった」のが『神統記』というわけです。

 

『神統記』では、戦勝者の特権世界の秩序がシンプルに語られています。

 

 

『神統記』には、当時のギリシア民族のメンタリティを統率するツールとして有効だったと思います。

 

そのため、時の権力者に好都合な物語として受け入れられたように思います

 

このような状況下で『神統記』は、人々に読まれました。

 

著者の略歴

 

著者のヘシオドスは、紀元前700年頃に存在した、とされる吟遊詩人です。

 

『神統記』は、ヘシオドスが30歳代で詠った叙事詩、と言われています。

 

本業は羊飼い。普段は、畑を耕す農民として生計を立てていました。

 

ヘリコン山での仕事中、ヘシオドスに「神の声」が聴こえた、というエピソードがあります。

 

この「神降臨!」的な経験をきっかけに、吟遊詩人という「副業」を開始した。

 

原書を読む前に、前提条件をインストールしましょう。また映画などの関連コンテンツで作品の雰囲気や世界観をイメージするのがオススメです。さらに、同時代の作家の作品をあわせて読むことで、雰囲気を深堀りできます。
りはぶん

 

『神統記』あらすじ

 

 

作品を楽しむために必要なあらすじは、

 

  • 商品レビュー
  • 舞台設定(時代・場所)
  • 登場人物(関係性)

 

3つくらいです。

 

その他、作品独自のルールテーマなどがあればおさえておきます。

 

商品レビュー

 

ホメロスと並ぶ最古の叙事詩人ヘシオドスが唱いあげるギリシア諸神の系譜。宇宙の始源、太古の神々の生誕から唱い起こし、やがてオリュンポスの主神ゼウスが、凄惨な戦いののち、ついに世界の統治者として勝利と栄光を獲得するに至るまでを力強く物語る。ギリシア神話、宇宙論のもっとも基本的な原典。

引用:Amazon商品説明

 

商品レビューは、コスパの高い文章です。本を売るために書かれた文章だから、ムダが少ないです。

 

読者の興味を引くように端的にまとめられています。

 

商品レビューは、あらすじの「超概要」です。

 

舞台設定(時代・場所)

 

・時代:紀元前700年頃

 

・場所:現在のギリシア半島やエーゲ海あたり

 

 

ちょっとしたことですが、作品のロケーションを地図上でイメージしておくと便利です。

 

史実上、出版した時代は、紀元前700年頃。

 

しかし、ギリシア神話のエピソード自体は、紀元前2000年頃から、昔話のように伝えられてきたものです。

 

そのため、ギリシア民族のメンタリティには、神話のエピソードがとけこんでいたことでしょう。日本人が昔話をよく知ってるように。

 

ちなみに、紀元前700年頃は、キリスト教が誕生するよりもずっと前ですね。

 

登場人物(関係性)

 

 

かなり簡略化しましたが、上記の相関図がチェックすべき主要な神様たちです。

 

この超基礎チャートをふまえておくことで、その他の神様をイメージする余裕が生まれます。

 

 『神統記』の登場人物を3つに分類

①天地創造のフェーズで活躍する神々(約46億年前)

②人間誕生のフェーズで活躍する神々(約7万年前)

③ヘシオドス:語り部である人間(紀元前700年頃)

 

 ①天地創造フェーズで活躍する神々(約46億年前)

・ガイア:大地の女神
・ウラノス:天空の神
・クロノス:ガイアとウラノスの子供(ティタン神族のリーダー)
・レア:クロノスの妻

 

まず、この天地創造のフェーズで、地球が創造されます。神々によって、大地や空が創られます。

 

いや、スケールがデカ過ぎてよく分かりませんね。一応、「地球誕生」という時代設定なので、歴史学的に「46億年前」と設定しました。

 

 ②人間誕生フェーズで活躍する神々(約7万年前)

・ゼウス:絶対神、クロノスとレアの子供(オリュンポス神族のリーダー)
・ティタン神族の神々(クロノス率いる神々)
・オリュンポス神族の神々(ゼウス率いる神々)

 

ここでは、人間誕生のフェーズで、ホモサピエンスの誕生します。

 

また、このフェーズでは、神様同士の派閥争いが目立ちます。

 

オリュンポス神族VSティタン神族。

 

派閥争いの結果、オリュンポス神族が勝利し、ゼウスが世界を統治する絶対神となる。

 

地球、人間、四季、愛…。ゼウスは、抽象的な概念をガンガン定義していきます。このあたりが、現在におけるヨーロッパ文化の土台として機能し続けている感じですね。

 

 ③ヘシオドス:語り部である人間(紀元前700年頃)

・ヘシオドス:①と②の系譜をふまえて『神統記』を詠む

 

ゼウスはかなり強引な感じで世界の抽象概念に「意味付け」をしていますが、ヘシオドスの主観もかなりあったと思います。

 

ギリシア神話のエピソードは、他にもメチャクチャありますが、とりあえずこのくらいで。

 

作品内には、知らない地名や人名(実在・架空ともに)が出てくることは、多々あります。知らない固有名詞が増えると頭がパンクします。外国語はなおのこと。

 

そんな時、物語の舞台設定を地図でイメージし、この相関図をメモや付箋代わりに、途中、チラ見しながら読書することをおすすめします。

 

ヘシオドスも、上記のようなチャート図を頭に入れて叙事詩を語っていたはず…!

 

『神統記』原書(訳書)の巻末に、神々の系譜図が載っています。くわしく知りたい方は、そちらをご覧ください。

 

『神統記』感想

 

 

ここからは、引用を絡めた個人的な感想です。

 

語りたまえ まずはじめに 神々と大地が
また諸河と大浪荒れる涯しない海が
また輝きわたる星辰 高く広がる天空と
(この両柱から生まれた 善きものの贈り手なる神々が)
いかにして生まれたもうかを。
また神々がどのように富を配り いかに特権を分かちあい さらにまた
どのようにして はじめに山襞たたなずくオリュンポスの高嶺を手中に納めたもうかを

 

引用:ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳 岩波文庫(p20)

 

神話ならではの力技で、抽象的な概念が定義されていきます。

 

地球、神、人間、季節、愛、嫉妬などなど。

 

このように、根源的なメッセージがつらつらと語られています。

 

さて幸える神々が その労役(戦い)を終え
ティタンどもとの権勢をめぐる争いを 力ずくで解決した その折に
神々は オリュンポスの 見はるかすゼウスに
彼が(神々)を統べ 治めるようにと懇請した 大地の勧めに従って。
かくて 彼は 神々の間に 正しく機能を分かち与えられたのだ。

引用:ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳 岩波文庫(p109~110)

 

オリュンポス神族(ゼウス軍)VS ティタン神族(クロノス軍)

 

別名、息子(ゼウス)VS 父親(クロノス)

 

これが、地球統治をかけた神々の対立構造です。結果は、オリュンポス神族(ゼウス軍)の勝利。

 

すると、ガイア(大地の神)は、「ゼウスに全てを委ねなさい」と指示を出しました…。

 

バリバリのメタ認知な世界ですね。

 

著者のヘシオドス的には「神のお告げですから…!」というスタンスなんですかね。ただ、ヘシオドスのゼウスに対する思い入れは、かなり強いように思いますが。

 

『神統記』まとめ

 

 

最後に、本記事の内容、

 

  • 『神統記』読む前に
  • 『神統記』あらすじ
  • 『神統記』感想

 

3つをサクッと振り返ります。

 

まとめ①_読む前に

 

原著(翻訳本)を直接読む前に、少しの予備知識があるだけで十分楽しめます。優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なると、物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。

 

その理由は、読者の頭の中に、読者の頭の中に、作品の時代背景や常識といった基本情報、前提知識が不足しているからです。

 

書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです

 

作品名 『神統記』
著者 ヘシオドス(紀元前700年頃)
出身地:ギリシアのヘリコン山近郊?(ギリシア半島南部に位置する山)
出版国 ギリシア
出版年 紀元前700年頃(現存する世界最古の叙事詩)
執筆時の年齢 30歳代前半(推定
分量 約125ページ(約1000行の詩集)
ジャンル 叙事詩
電子書籍 ×
オーディオブック ×
関連コンテンツ(映像) ×

 

まとめ②_あらすじ

 

・商品レビュー

ホメロスと並ぶ最古の叙事詩人ヘシオドスが唱いあげるギリシア諸神の系譜。宇宙の始源、太古の神々の生誕から唱い起こし、やがてオリュンポスの主神ゼウスが、凄惨な戦いののち、ついに世界の統治者として勝利と栄光を獲得するに至るまでを力強く物語る。ギリシア神話、宇宙論のもっとも基本的な原典。

引用:Amazon商品説明

 

・舞台設定(時代・場所)

時代:紀元前700年頃

場所:現在のギリシア半島やエーゲ海あたり

 

・登場人物(相関関係:図参照

<天地創造のフェーズで活躍する神々>

・ガイア:大地の女神
・ウラノス:天空の神
・クロノス:ガイアとウラノスの子供(ティタン神族のリーダー)
・レア:クロノスの妻

<人間誕生フェーズで活躍する神々>

・ゼウス:絶対神、クロノスとレアの子供(オリュンポス神族のリーダー)
・ティタン神族の神々(クロノス率いる神々)
・オリュンポス神族の神々(ゼウス率いる神々)

<語り部>

・ヘシオドス

 

まとめ③_感想

 

ギリシア神話にかぎらず、古今東西の神話や宗教には「0から1を作る設定』がたくさんありますよね。

 

その理由は、虚構のストーリーを創造して人々を統治するため、だと思います。

『神統記』が詠まれていた頃、ギリシア人は民族的なアイデンティを確立し、ポリスという城壁をかまえたコミュニティで集団生活を始めました。

 

そこで、彼らは裁判やらミーティングを重ね、戦争戦略のミーティングをおこないました(たぶん)。

 

統治されていない、不安定な民衆は、心のどこかで絶対的な統治者をもとめていたと思います。

 

ヘシオドス自身が権力を意識していたかは、分かりませんが、『神統記』は民衆の心をつかみました。

 

そして、時の権力者は『神統記』で活躍する絶対神ゼウスのストーリーを、政治的なツールとして活用したのではないでしょうか。

 

語り部であるヘシオドスも『神統記』を広く受け入れてもらうため、民衆の心や権力者の反応をみながら「編集」していたように思います

 

このような物語の政治的利用は現代においても、よく見られる現象ですよね。そんなふうに考えると、神話も人間の生々しい欲望が垣間見れて、おもしろいですよね。

 

もちろん、感想は人それぞれです。

 

本記事は、作品を読む際のコンパスのようなものです。ひとつの読み方として、作品の前提知識基本情報をおさえた上で、読書することをおすすめします。

 

方向性が決まれば、それぞれの目的で『神統記』を楽しんで下さい。

 

最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
りはぶん

-文学
-,