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マーク・トウェイン『人間とは何か』人間は機械です【要約・感想】

人間とは何か【要約・感想】アイキャッチ画像
しつもん君
『人間とは何か』ってどんな本?マークトゥエインって冒険小説を書いてるイメージがあるんだけど、これは、なんか哲学的でむずかしそう…。実際の本を読む前に、どんな内容かを知りたいな。

 

この記事では、上記の質問にお答えします。

 

こんにちは、書評ブロガーのリハビリ文学です。当ブログのコンセプトは「読書とテクノロジーで人生をイージー化」。ちょとむずかしめの本や新しいテクノロジーを分かりやすく紹介しています。読書量はオーディオブックも使って年間100冊程度。ふだんは介護施設のリハビリ職員として働き、老いや人生についてあれこれ考えてます。最近は暗号資産やNFTの勉強にハマり中
りはぶん

 

 

 本記事の内容

  • 『人間とは何か』読む前に
  • 『人間とは何か』あらすじ
  • 『人間とは何か』感想
  • 『人間とは何か』まとめ

 

『人間とは何か』の邦訳は、下記の2つがおすすめ
りはぶん

 

 

・中野好夫訳(1973)

 

・大久保博(2017)

 

『人間とは何か』をザックリ言うと…

人間の意志決定に関する老人と青年との対話本。雰囲気的には『嫌われる勇気』。青年は人間の精神の自由性を主張します。一方、老人は人間の精神は機械的なもの、二者択一的なものだと語ります。欲望も同じ。すべての欲は、精神的なものであり、物質欲と精神欲は分けられません、と。

 

そんな感じです。

 

実際、この作品の内容はセンセーショナルな要素が強かったため、完成から発刊まで数年のタイムラグがあります。

 

執筆当初は1903年でしたが、実際に発刊されたのは3年後、病床の妻の死後1906年でした。

 

発刊当時は匿名で刊行され、マークトゥエインの死後から7年経過した1917年に、マークトゥエインの名で、一般発売されたそうです。すごいすね…

 

アメリカを代表する文学者マークトゥエイン。100年以上前に書かれた人間観察ですが、色あせていません。

 

内容をサクッと知りたい方は「読む前に」と「あらすじ」だけを読めばオッケーです。作品の前提知識がチェック出来たら、ぜひ原書を読んで下さい。

 

それでは、行ってみましょう。

 

 

『人間とは何か』読む前に

 

 

ちょっと難しく感じる作品(特に外国の古典作品)を読む場合、原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。

 

優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。その理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。

 

この記事では、作品の基本情報、著者の略歴、時代背景などを簡潔にお伝えします。

 

ちなみに、書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、オーディオブックや映画など、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです

 

 

基本情報

 

作品名 『人間とは何か』
著者 マーク・トゥエイン(1835ー1910)享年74歳
出身:アメリカ合衆国ミズリー州フロリダ。晩年はコネティカット州
出版国 アメリカ合衆国
出版年 1906年
執筆時の年齢 70歳
分量 約180ページ
ジャンル 対話体評論
電子書籍 ▶︎ Kindle本
関連の音声コンテンツ ×
関連の映像コンテンツ ×
同世代の作家 ルイス・キャロル(1832ー1898:出版時は逝去)、トルストイ(1828ー1910:出版時78歳)、ドストエフスキー(1832ー1888:出版時74歳)

 

 

時代背景

 

 

『人間とは何か』が発刊されたのは、1906年です。

 

世界的に帝国主義が台頭している時代であり、内戦で出遅れていたアメリカも「アメリカ=スペイン戦争」(1898)で植民地化に注力を始めた頃です。

 

この時代は、南北戦争後で、アメリカの工業化がさらに発展します。より物質主義的な社会風潮が広まり「金ぴか時代」と形容されることがあります。

 

このような物質主義的な社会背景を前に、マークトウェインは「人間はしょせん精神的な自己欲求をみたす機械にすぎない」と語ります。

 

 

著者の略歴

 

 

著者のマーク・トゥエイン(1835ー1910)は、アメリカの小説家です。

 

5人兄弟の3番目として生まれる。本名サミュエル・ラングホーン・クレメン。『トム・ソーヤの冒険』『ハックルベリーフィンの冒険』などのユーモア要素が強い作品の著者として有名です。

 

一方、70歳前後の晩年は『不思議な少年』『人間とは何か』などのペシミスト(悲観主義)的な要素の作品が多いです。

 

原書を読む前に、前提条件をインストールしましょう。また映画などの関連コンテンツで作品の雰囲気や世界観をイメージするのがオススメです。さらに、同時代の作家の作品をあわせて読むことで、雰囲気を深堀りできます。
りはぶん

 

 

『人間とは何か』あらすじ

 

 

作品を楽しむために必要なあらすじは、

 

  • 商品レビュー
  • 舞台設定(時代・場所)
  • 登場人物(関係性)

 

の3つくらいです。

 

その他、作品独自のルールやテーマなどがあればおさえておきます。

 

むしろ、あらすじを読みすぎると「読まなくても分かった気になる」という危険性もあるので注意しましょう。

 

 

商品レビュー

 

人生に幻滅している老人は、青年にむかって、人間の自由意志を否定し、「人間が全く環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎない」ことを論証する。人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、マーク・トウェイン(1835‐1910)はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。当初匿名で発表された晩年の対話体評論

引用:Amazon(商品説明より)

 

商品レビューは、コスパの高い文章です。本を売るために書かれた文章だから、ムダが少ないです。

 

読者の興味を引くように端的にまとめられています。

 

商品レビューは、あらすじの「超概要」をつかむのに有効です。

 

 

舞台設定(時代・場所)

 

・時代:20世紀前半

・場所:老人の家(=マーク・トウェインの晩年住居と想定)

 

 

ちょっとしたことですが、作品のロケーションを地図上でイメージしておくと便利です。

 

『人間とは何か』の舞台は具体的に示されていません。ただ、トウェインの居住地であったであろう場所(晩年、著者の自宅はコネチカット州にあったため)をビジュアル化しておくだけでも、不思議と理解が深まります。

 

 

登場人物(関係性)

 

 

チェックすべき主要メンバーは、2人。

 

・老人(悲観主義的:世の中の根本は悲惨や悪で出来てると思うよ的、な考え
・青年(人道主義的:世の中の善行は人間の理性によって決まるよ的、な考え

 

老人と青年によるソクラテス的対話式の作品構造です。ちなみに、ソクラテスというのは古代の哲学者。ソクラテスは、「なぜ?」「なぜ?」と自問自動的に対話をすすめていました。

 

老人は青年に対して「人間とは自己欲求を満たす機械に過ぎない」と言い切ります。青年は、このような老人の考えに不快感を示し、なんども食い下がります。

 

ところが、対話をくりかえすなかで、青年は老人の言葉がそれほどまちがっていないことに、じわじわと気づきます。

 

ディープな内容ですが、老人と青年の対話形式で構成され、平易なことばで表現されています。ベストセラー「嫌われる勇気」にも通じる部分があります。

 

また、オーディオブックで作品を楽しむ場合にも、この登場人物の相関図は重宝します。オーディオブックは「返り読み」には不向きであるため、前提条件や設定を振り返るときに役立ちますよ。

 

 

『人間とは何か』感想

 

 

ここからは、引用を絡めた個人的な感想です。

 

老人:いや、ただの言葉の普通の意味においてだなーーー他人のために自己犠牲をやる人間なんてのは絶対にいないーーーつまり、他人のためだけの自己犠牲なんてものはありえない、ってことを言っただけさ。たしかに、人間、他人のために毎日自己犠牲はやってる。だが、それもまず第一には自分のためなんだよ。ないよりもまずはその行為は、自分を満足させるものでなくちゃならん。

引用:マーク・トウェイン著『人間とは何か』中野好夫訳 岩波文庫(p66)

 

この引用部分が、本書の全体的な主張です。

 

人間、自分自身の欲求が第一、と考えている、と。

 

たとえば、川であぼれている人を救助する場面。

 

・・・助ける?

・・・助けない?

 

時として、人は自分の命もかえりみず、他人を助けることがあります。それは奉仕の精神とは違う、と老人は語ります。

 

すこしひねくれた感じを受けるかもしれませんが、救助活動でさえも、自分の欲を満たす手段にすぎないのです

 

救助活動を通して「他人を助ける」という自己欲求を実現しているわけですね。

 

「そうせざるを得ない自分がいる」ということですね。

 

本書では、このような心理的なメカニズムが、 超一流の文学者の切り口で語られています。

 

「おせっかい」や「偽善」など、ふだんからモヤモヤとした感情をバッサリ切ってくれます

 

青年:それにしても、まだ一つわからん点がありますね。いったいあなたは物質欲と精神欲との境界線をどこに引いてとられるのか、それがわからないんです。
老人:そんなもの一切引かんのだよ。
青年:どういう意味です?
老人:物質欲なんて、そんなものはないからな。欲はすべて精神的なんだ。

 

引用:マーク・トウェイン著『人間とは何か』中野好夫訳 岩波文庫(p149ー150)

 

全体を通して、こんな感じの対話が続いています。

 

老人と青年が人間の精神や存在に対して、哲学的な対話をコツコツと重ねていくのみです。一見、抽象的な内容で理解しにくそうに感じますが、読み進めていくうちにグイグイと老人の「論破力」に引き込まれていきます。

 

たとえば、欲望やお金について。

 

老人は、「物質欲と精神欲は分けられない」「欲はすべて精神的なもの」と主張します。

 

お金によって、物質的な欲望はある程度満たすことができます。高級マンション、高級車、ブランド品など、すべてお金で買うことができます。所有によって「物質的な欲望」は満たせます。

 

さらに、言葉自体にも注目し、よく考えてみましょう。

 

「物質的な欲望」の「欲望」という言葉・・・。「欲望」自体が精神的なものです。

 

実際、高級マンションに住むことで(物質的な欲望が満たされることで)、生活が快適になって「精神的な欲望」が満たされます。あるいは、高級車やブランド品を所有することで(物質的な欲望が満たされることで)、他人からの承認欲求という「精神的な欲望」を得ることにつながります。

 

つまり、「物質的な欲望」は表面的であり、常に「精神的な欲望」が根っこ、にひそんでいる、というわけですね。

 

 

『人間とは何か』まとめ

 

 

最後に、本記事の内容、

 

  • 『人間とは何か』読む前に
  • 『人間とは何か』あらすじ
  • 『人間とは何か』感想

 

3つをサクッと振り返ります。

 

 

まとめ①_読む前に

 

原書を直接読む前に、ある程度の予備知識を持っておくことが重要です。優れた文学作品とはいえ、国や時代が異なれば物語の内容をすぐにイメージ出来ない場合があります。

 

その理由は、読者の頭の中に作品の時代背景や常識などの前提知識が不足しているからです。

 

書籍という文章コンテンツが読みにくい場合、オーディオブックや映画など、その他の関連コンテンツに触れることもおすすめです

 

・基本情報

作品名 『人間とは何か』
著者 マーク・トゥエイン(1835ー1910)享年74歳
出身:アメリカ合衆国ミズリー州フロリダ。晩年はコネティカット州
出版国 アメリカ合衆国
出版年 1906年
執筆時の年齢 70歳
分量 約180ページ
ジャンル 対話体評論
電子書籍 ▶︎ Kindle本
関連の音声コンテンツ ×
関連の映像コンテンツ ×
同世代の作家 ルイス・キャロル(1832ー1898:出版時は逝去)、トルストイ(1828ー1910:出版時78歳)、ドストエフスキー(1832ー1888:出版時74歳)

 

 

まとめ②_あらすじ

 

・商品レビュー

人生に幻滅している老人は、青年にむかって、人間の自由意志を否定し、「人間が全く環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎない」ことを論証する。人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、マーク・トウェイン(1835‐1910)はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。当初匿名で発表された晩年の対話体評論

引用:Amazon(商品説明より)

 

・舞台設定(時代・場所)

時代:20世紀前半
場所:老人の家(=マーク・トウェインの晩年住居と想定)

 

・登場人物(相関関係:図参照

老人(悲観主義的:世の中の根本は悲惨や悪で出来てると思うよ的、な考え
青年(人道主義的:世の中の善行は人間の理性によって決まるよ的、な考え

 

 

まとめ③_感想

 

老人:いや、ただの言葉の普通の意味においてだなーーー他人のために自己犠牲をやる人間なんてのは絶対にいないーーーつまり、他人のためだけの自己犠牲なんてものはありえない、ってことを言っただけさ。たしかに、人間、他人のために毎日自己犠牲はやってる。だが、それもまず第一には自分のためなんだよ。ないよりもまずはその行為は、自分を満足させるものでなくちゃならん。

引用:マーク・トウェイン著『人間とは何か』中野好夫訳 岩波文庫(p66)

 

『人間とは何か』を読んだ後、「情けは人のためならず」という言葉が思い起こされました。

 

仕事でもプライベートでも、誰かに何かをGIVEするとき、常に「そうせざるを得ない自分」がいることを忘れないようにしたいですね。他人に何かをしてあげる、という発想は自分の欲望に無自覚で、どこか傲慢な気がします。

 

もちろん、感想は人それぞれです。

 

本記事は、作品の前提知識基本情報をおさえるコンパスのようなものです。。

 

方向性が決まれば、それぞれの目的で『人間』を楽しんで下さい。

 

 

・中野好夫訳(1973)

・大久保博(2017)

 

最後までブログを読んでいただき、ありがとうございました。
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